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「しかし、しかしですよ、警部。そんな話、署内でも聴いた事ありません。」
アバーラインにはキャリックの混乱ぶりが理解出来た。アバーラインがキャリック立場であれば、同じく混乱したに違いなかった。リッパー・ザ・ジャック事件の解決はスコットランドヤードにおいてもごく一部しか知らないトップシークレットである。しかしアバーラインは教授と会うのにキャリックを同行させる以上、アバーラインはある程度の情報は与えるべきだと判断し、敢えてこの話をしたのである。そして、アバーラインの予想通りの質問をキャリックは口にしたのである。
「では、警部はリッパー・ザ・ジャックの正体を知っているんですか。」
「あぁ、知っている。」
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