ジェイムズ教授の退屈な日常

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勝手に困惑しているキャリックを半ば押し退けるようにアバーラインが顔を出した。 「君はたしか、モラン君だったね。ジェイムズ教授は在宅かね?」 アバーラインの顔を見るとモラン少年は来訪者の正体と目的をおおよそ悟ったらしく、天使のような笑顔と文句の一つもつけようのない礼儀正しさで、アバーラインに応対した。 「教授でしたら、ちょうどお茶を飲みながら、寛いでおいでです。どうぞ。」 モラン少年の案内に従い、アバーラインとキャリックが通されたリビングは、リビングと呼ぶよりも、学長室か教授室と呼ぶ方が相応しいものであった。ただ、一つそう呼ぶにそぐわないのが、部屋の至るところに配置された鏡の存在であったろう。
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