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一体何だと言うのだ。
俺は眉間に皺を寄せて表情で聞く。
すると裕子は右手の二本の指を左手にペチペチと叩く。
何かの合図だろうか。
キョトンとそれを見ていると裕子が額に青筋浮かべて言う。
「学校!あと三分と二十秒で遅刻ですよ!」
ふと携帯の液晶画面を見る。
八時十一分
俺の頭の中からカウントダウンが聞こえてきた。
‡
「ぜぇ・・・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・・、もう、無理・・・何でお前そんなに、速いんだよ・・」
隣で光が死にそうな顔をして話しかけてくる。
「知らねー。おっかしぃなー。俺、体力上がったのかなー?」
我が学校まで走って到着。
それでも二分半は遅刻してしまった。チクショウ。
光は残り400mというところでバテ始めていた。
正直、俺は光より体力は少ないほうだと思っていた。
だって男だったときに、いつも持久走負けてたからだ。
だけど今回は違う。俺は汗もかかなかった。
体に異常があるのか。まあ有り難き幸せだ。
しかしそれでも疑問である。
「くそー、悠に負けたー・・・。ホントに悠か?」
「お前はどんだけ人を疑うんだよ・・・。正真正銘、鮫島悠だ」
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