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ピピピピ・・・
目覚まし時計の音がなった。
そうか、もう朝か。
早く起きなきゃ、また妹に起こされちゃうな。
そう思いながら、俺は目を擦りながら上半身を起こす。
ん?なんだ?昨日より身体が重いような・・・?
まあ気のせいか。俺は手を頭上に上げて伸びをする。
すると、扉の向こうがノックされる音がした。
「兄ちゃーん!朝だぞー!起きなきゃ殺すぞー!」
何ともまぁ、朝から元気なこと。
ノックしたのは俺の妹、つまりは鮫島裕子。
スポーツ万能成績優秀。出来の良すぎた気持ち悪い妹。
「兄ちゃーん!朝だぞー!朝だぞー!あーさーだーぞー!」
「うるっせぇい!!黙ってろ!!」
俺は裕子の声に半ば苛ついたので怒鳴りつける。
・・・ん?待て?今の妙に高い声は俺か?
「兄ちゃ・・あれ?今の声誰?」
裕子も不信に思い始めている。
俺は再度小声で声を出してみるが、俺の声じゃない。
声変わりか?いやいや、この年で声変わりは有り得ない。
ハッと気がついた。さっきから身体が重いという錯覚。
俺は恐る恐る自分の胸に手を当ててみる。
・・・・・・・・ある。
柔らかい。弾力性がある。乳首も少し違う感じ。
我に返ると、俺は自信の羞恥心のせいで顔を赤く染める。
現実から目を背けようと顔を鏡に向けたときだ。
目の前にやたら可愛い女の子がいた。
「・・誰?」
鏡に聞いてみた。
しかし、同じ答えが返ってくる。
「兄ちゃーん!今の声は誰なの!彼女!?それともSF!?」
「うるっせぇんだよ!餓鬼はママのおっぱいでも飲んでろ!」
俺の声じゃない。でも俺が喋っている。
もうやだ。こんな現実認めてたまるか。
俺はついに現実を見た。
俺は女になったのだ、と。
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