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次に異変を感じたのは、それから3日後の朝だった。
それに気付いたのは再び朝食の席だ。
いつものように席に着いた俺が見たのは両親がの下着姿だった。
父さんが俺に話しかける。
「何だ? その奇妙な布は?」
まだ肌寒いこの季節
下着姿で生活するのが普通となってしまったこの世界では服と言うものが存在しないらしい。
「いや、これはちょっとね」
「もぉー、家にいる時は別にいいけど、外にいる時はその変な布取りなさいよ。何処で拾ったかは知らないけど、うちが贅沢をしていると思われたら堪らないわ」
母親は摩訶不思議と言わんばかりの顔をすると、俺が着てた服を指差してそう言う。
どうやら、服が存在しないと言う世界は布自体が貴重な物となっているようだ。
発願者がどういう願いをしているのかは分からないが、まず『布が貴重な世界』とは言ってないだろう。
これは予想になるが、願いによって世界はその望みに関わらず、都合の良いように変わるに違いない。
まだ完璧に把握出来てない状態だが、もしかしたらいつも通り外に出たら、贅沢とか何かで取り締まりを喰らうかもしれない。
今回ばかりはこの世界に従わないといけないようだ。
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