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『あなたはもし何か願い事が叶うなら何を願いますか?』
俺――神谷誠(かみやまこと)はリビングでテレビを見ていた。
テレビの向こう側ではアイドルが街角でインタビューをしている。
周りはそれを取り巻くように見守り、尋ねられた人はそのアイドルの質問に答える。
『うーん、彼氏が欲しいかな』
『金!! 金が欲しい!』
『ハーレム築きたい』
『魔法を使ってみたい』
誰もが自らの野望を語っている。
願いの大きさに大小はあるが、まぁ、夢を見るのは勝手だ。
たとえ絶対叶わない願いだろうと、それが叶ったときの自分を想像するだけで時間潰しにはなる。
俺も願いが叶うなら何を願うか考えてみる。
金? 女? 力?
思い浮かぶものはどれもありふれたものばかり……
まぁ、同じ人という生き物であるため、願いが似るのは当たり前だが、何だか面白くない。
俺はテレビを消すと、学校の制服に着替えるべく、自室へと向かった。
始業時間は8時30分
今の時間が7時30分なので、ここから30分で行ける学校には今から着替えれば、充分間に合うはずだ。
俺はハンガーにかかっているカッターシャツを今着ているTシャツの上にそのまま着ると、親が作ってくれた弁当を手にとり、少し早いが学校に向かうことにした。
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