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俺は確認もせずに車に乗り込む。
数秒遅れず、会長達も車の中に入り込んだ。
会長は俺の横で、沙倉先輩は助手席だ。
「沙倉君、お願い」
会長がそう言うと沙倉先輩は頷いてから、運転手に向かって口を開いた。
「貴方は後ろ2人の服装を不思議に感じない。貴方は目的地に到着するまで、俺以外の人の声を聞き取ることは出来ない」
つくづく便利な力だ。
沙倉先輩は2つの命令を連立して言ったかと思うと次には道案内を始めてる。
俺は状況を教えてもらうべく、会長の方を向いた。
「今、どう言った状況ですか?」
いきなり本題を切り出す。
「えぇ、私も学校にいたから詳しくは分からないんだけど、この前見せた3人の顔写真を覚えているかしら?」
勿論記憶している。
外国人に筋肉男、それにホストだ。
俺は首を振り、肯定する。
「沙倉君の話によると、今回の一連に絡んでるのは、工事現場で働いてた男よ」
筋肉男か……
顔は思ったより誠実だったが……
「犯人が分かったなら何で急いでるんですか?」
「そう急かさないで。順序よく説明してるんだから」
俺は「分かりました」と言って耳を傾ける。
「ブロンドの女性を覚えてるでしょ。彼は今、彼女を襲ってるの」
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