あの日あの時

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私は姫川咲。 兄がいたんだけど三年前に亡くなった。 私の目の前で他界した。 事故とかじゃない。 バイクで引かれて殺されたんだ。 兄をやったそいつの顔…… 忘れようとしても頭から消えない。 憎い…… 私の手で潰したいと思った。 三年前――― もともとケンカが強かった私は兄が亡くなった次の日から夜になると出歩き、話し掛けてくる男達を意味も無いのに殴ってた。 その噂は広まり、゛黒髪の悪魔゛と呼ばれるようになった。 そんなある日、いつものように歩いてたら、兄が亡くなった場所に来ていた。 「健兄……」 ポロッ─── 「っ……」 いつの間にか涙がこぼれ落ちてた。 あれから一年か。 「健兄、私……強くなったよ?」 何もすることがなくしゃがんでいた。 ジャリッ─── 「!?」 反射的に後ろを振り向いた。 「咲チャン?」 「悠さん……」 悠さんは兄が総長だった時の副総長。 今は総長をしている。 族の名は鬼姫。 「久しぶり。」 「お久しぶりです。」 「゛黒髪の悪魔゛………」 !? 「咲チャンのことだね。」 「多分……」 「兄妹そろってケンカ強いんだね。」 「兄には勝てませんよ……」 だって兄は゛赤い虎゛って呼ばれてたし。
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