いつもと同じで特別な日

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「う~ん、最初はそう言ったんだけど、それじゃあまりにも可哀相かと思って、みんなにとって重要なことを賭けたんだ」 「…………へ、へぇ~…」 (それってお昼ご飯より大事なこと? だとしたら余計可哀相なんじゃ…) ――言えない。言ったってどうせ適当に受け流されるのがオチである。 「そ、それで? 誰が勝ったの??」 「うん、俺が勝ったよ。ま、まぐれだけどね」 「……そ、そうなんだぁ…」 ――見てた限り、一度とて汀卒を追い抜ける人は居なかったのだが、それでもまぐれと呼ぶのだろうか。 「あ、結菜。今日は別に夜、大丈夫なんだよね?」 「……え…? う、うん。花火大会もあるし良いよ、って言われたから…」 言いながらも、どこか嫌な予感が拭えない。 「うん。じゃ、花火始まるまで今夜は肝試しね」 「……へ?? 肝、試…し??」 「そ。ほら、そこにちょうどいい洞窟がある。…ね? 良い考えでしょ?」 「……いや、でも私…」 「…怖いの??」 「…怖くなんか! …って言いたいとこだけど、少し…だけ。だって私、お化け屋敷すら入ったことないんだよ?!」 「あはは。ならちょうどいいじゃない。初体験」 「…でも私……」 「大丈夫。結菜と一緒に回るの、俺だから」 「でも、そういうことじゃ……!!」 「あ、もうそろそろ暗くなってきたね。じゃ、俺、服に着替えてくるから」 「ちょ、汀卒…!! ……行っちゃった…」 寝そべっているみんなを引き連れて着替えに行ってしまった彼の背を呆然と見送る。 ――肝試し…。 どうしよう。尋常じゃなく怖いよ……。 皆が着替え終わって砂浜に戻ってくると、そこには一人うなだれた結菜が居たということだ。
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