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意志伝導から付き合うようになった俺と稲葉。
何も変わらないつもりでいたけど、周りからはバカップルだとはやし立てられている。
永瀬が言うには、「デレバン症候群」らしい。
確かに、最近の稲葉は特に可愛いと思う。
いや、彼氏特有の贔屓目だとは分かっているんだが…
「太一?何、ボーっとしてんだ?」
「うぉっ!?」
噂をすればなんとやら…ってやつか?
いつの間にか目の前に稲葉が立っていた。
「おいおい。可愛い彼女が話しかけたのに、そのリアクションはねぇーんじゃねーか?お?」
「いや、稲葉すまない。少し考え事をしていた」
稲葉が不機嫌になっては困る。
俺は、慌てて体裁を繕う。
「大丈夫か?おまえ。普段なら可愛いとか自分で言うなよとかツッコンでくる所だぞ?まさか、[ふうせんかずら]か?」
「ちょっと待て、稲葉。俺は大丈夫だ。[ふうせんかずら]でもないから安心してくれ。それに、稲葉が可愛いのは本当の事だからツッコむ事が出来なかっただけだ」
「うぇ!?あ…う…うん」
あっ、デレた…。
最近の稲葉は、本当に可愛い。
いや、前は可愛くなかったという訳ではないが…前はクールな感じで美しいという言葉が似合っていたと思う。
「あ~…。うんん!!ボーっとしてねーで部室行くぞ。」
顔を赤くして慌てながら踵を返す稲葉は、やはり可愛い。
「お~い。稲葉、部室はこっちだろ?」
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