1人が本棚に入れています
本棚に追加
弁当のフタを開けた。
ハンバーグの匂いがした。
なかなかうまくできている。
心の中でガッツポーズをした。
クラスの男子に「それうまそうじゃん」と言われたが、僕は黙々と弁当の中身を減らした。
今日も授業が終わり放課後となったわけだが、僕には部活がある。
僕は水泳部に入っている。
理由は昔に少し習っていたから、という何てことない理由だ。
今の時期は泳がない。
いや泳げない。
何故ならば今季節は春。
今水泳部では陸上トレーニングをしている。
自由参加なのであまり気は進まないがほぼ毎日参加している。
いつもの顔ぶれが揃っている。
大体くる奴とこない奴は決まっていた。
その中にやたらと元気な女子がいる。
姫野というらしい。
自分とあまり関わりはないが、皆そう呼んでいたので知っている。
いつも騒いでいるがあまり気にならない。
慣れてしまったというのもあるが、僕が良いイメージを持っているからだ。
というよりもこれが水泳部にくる理由と言っても間違いではない。
しかし、僕は恋だと思っていない。
彼女は運動神経抜群、整った容姿、頭脳明晰。才色兼備、何もかも揃っているのだ。
勿論男子人気もかなり高い。
なのでめったに人と会話などしないし勉強はたえず中の下、さらに友達もいない僕から見たら天にそびえるひまわりのようなものであり、両思いなどあり得ないのだ。
それは恋ではないと僕は思っている。
僕が彼女に対する思い、それは恋ではなく好意。
最初のコメントを投稿しよう!