アイドル・KAI

2/3
前へ
/8ページ
次へ
「お兄ちゃん!」 突然で驚いたのか、きょとん。とした顔で私を見上げた。 「帽子!返してっ!」 お兄ちゃんはきょとんとした顔で言った。 「帽子?そんなの借りたか??」 嘘っ?!忘れてる?! 「そんな!撮影用にって!!」 あれは大切な帽子だったのに… 「ごめんなぁ(笑)忘れっぽ……くて」 なんでお兄ちゃんが言葉を言うのに詰まったかわかる。 だって…あたしが泣きそうだから。 「う…うぅ…」 お兄ちゃんは慌てている 「ご!ごめんな明日香!!今度新しいの買ってくるから(笑)泣くな?!」 新しいの?そんなのいらない。私はあの帽子が大好きで…いつもかぶってて… そう考えると、涙が止まらなかった。 「…ちゃ…カ…ぐすっ…」 私は言ってしまった。 「え?」 「お兄ちゃんのバカ!!」 バタバタバタ… 私は二階へと駆け上がった。 「…明日香。」 次の日。 「行ってきます。」 お兄ちゃんは朝から仕事に向かい。私はあれ以来口を聞かずに学校へ向かった。 「…どーした?KAI。」 …ハッ! 「え?何が?(笑)」 「今日元気ないな。」 そんなことねーよ!そぅ言いたかった。 「…あぁ。」 これしか言えなかった。 帽子・・・ 帽子・・・ あ。 そういえば・・・ あの帽子は・・・ 6年前。まだ、明日香が小学3年の時。 「おにいちゃーん・・・ぐすん・・どこー!おにいちゃ・・・」 俺と一緒に行った水族館で明日香は一人迷子になっていた。 「明日香ー?!どこ行ったんだ!?」 この時、俺はアイドルなりたてだったが・・・ ファンは300・・・450くらいはいた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加