1.屋上

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「どうせ、鍵がかかっているさ」  彼は心の中でつぶやく。そして、実際に鍵がかかっている扉を発見し、小さな落胆とともに引き返す、そんな自分の未来の姿を想像し、祐助は苦笑を浮かべる。しかし、彼の意に反して、彼はそこで鍵の開いている扉を発見した。普段は好奇心を押し殺し気味の祐助も、その扉の魔力には抗いがたかった。思わず取っ手を握ると、扉を開く。扉は普段ほとんど利用されていないとは思えないほどスムーズに開いた。そして、開いた扉の真正面には夕日があった。その夕日に紛れるようにして、黒い影が揺れる。
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