1.屋上

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「君は、ここで何をしているんだ?」  相手も自分と同じ立場だと言うことで安心したのか、祐助はそんな問いを発する。 「別に。ただ、いただけよ」  影が冷たく応える間も、祐助は少しずつ前に進む。たそがれ時、誰そ彼はの語源通り、その影が誰であるのか最初こそ見分けがつかなかったが、お互いの距離が狭まるにつれて、祐助の目には少しずつその輪郭が明瞭になっていく。そして、その姿がはっきりと見えたとき、祐助は思わず足を止めた。
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