一.屋上の少女

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0.夕陽の下  夕刻、見晴らしの良いその場所に、少女は一人で立っていた。夕焼けが彼女の左頬を赤く染め、たまに吹く突風が少女のバランスを崩す。この季節特有の木枯らしである。もし、少女の様子を見ている人物がいたなら、少女が風に吹かれるたびに肝を冷やしたことだろう。なぜなら少女は、学校の屋上に、それも、高いフェンスの外側、一歩でも足を前に踏み出せば、その瞬間、体は支えを失い、地面に落下するようなそのような場所にいたのだから。
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