1.屋上

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 体操服姿の女子生徒が挙げた嬌声だった。彼女は楽しげな声を上げ、友人数人と校庭を走り回っている。同じ学校の生徒であるはずなのに、向こうは何の悩みもなさげに感情を爆発させ、一方、こちらはすでにクラブ活動を引退し、高校受験を控え、灰色の時間を過ごしている、その事に不合理さを感じてしまい、祐助はきびすを返した。  もしかして、彼女もこんな気持ちを味わっているのだろうか? 祐助はそんな疑問を覚えたが、その疑問を確認する勇気は無く、校舎へ続く扉を開いた。
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