1.屋上

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「ホントだって、今、屋上に誰かいたんだ」  陸上部らしい男が、必死な形相で隣に立つ友人に説明する。 「馬鹿言うなよ、屋上には鍵がかかっているだろう?」  友人らしい男は、そう言うと、 「それに、誰かいたからと言ってなんだ?」 「だって、鍵がかかっているんだろう? 誰かいるのはおかしいじゃないか。それに、ふっと、消えるようにして姿が見えなくなったんだ。あれはもしかして、幽霊」  そうか、彼女は幽霊だったのか。祐助はその男子生徒の言葉に思わず納得しそうになった。先ほど見た現実感の無い月森と幽霊という存在がかなりの類似性を持っているように、彼には思えたからだ。
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