1.屋上

23/24
前へ
/445ページ
次へ
 祐助が裏庭にたどり着いた時には、すでに人だかりができていた。普段はあまり人気の多くないその場所で、十数人の生徒がわめき声に似た声を上げている。祐助はその人垣の間から何とか騒ぎの中心をのぞき見る。そこには、学校指定のセーラー服を着た少女がへたり込んでいた。その視線の先にはうつぶせで倒れる、こちらもセーター服を着た少女。しかし、こちらの少女は頭から血を流し、ぴくりとも動かないでいた。少女から流れ出た血液は花壇に咲いた色とりどりの花を赤く染めていく。その様子に転落死という言葉が、祐助の頭には浮かんだ。
/445ページ

最初のコメントを投稿しよう!

245人が本棚に入れています
本棚に追加