一.屋上の少女

4/5
244人が本棚に入れています
本棚に追加
/445ページ
 少女は自らの行為が愚かであることを知りながらも、それでも、その場にとどまり続けた。まるで、誰かに背中を押されるのを待っているかのように。しかし、そのような期待に応える人物は少女の周りにはいない。屋上には少女の姿しか無いのだから。そして再び突風が少女を襲う。しかし、その突風は少女の意に反して屋上の内側に押し戻すように吹いた。  また、死ねない、いや、本当は死にたくないのか? 少女がそう思った瞬間、彼女の背中はスチール製のフェンスにぶつかる。しかし、風があまりにも強かったためか、少女の体はその勢いで反対側に押し出された。
/445ページ

最初のコメントを投稿しよう!