4.蛇足

2/14
244人が本棚に入れています
本棚に追加
/445ページ
 次の日、祐助が学校にたどり着くと、すでに教室内は塚口と花田の話題で持ちきりだった。無理も無い、いくら受験が控えているとはいえ、これほどの大事件である。話題にするなという方が無理な相談だろう。  教室の扉を開けた祐助に対し、月森がおはようと声をかける。彼女はクラスメート全員に分け隔て無く挨拶をする。それはいつもの光景だった。あまりにもいつもの光景だったため、祐助はあっけにとられ、おはよう、とぼそっと挨拶を返すだけで顔を背けると、いそいそと自分の席へと向かう。
/445ページ

最初のコメントを投稿しよう!