夕陽の下の安楽椅子探偵

１．屋上

「今日も、鍵が外れている」
　先ほども書いたとおり、本来、屋上の扉は常に施錠されている。それも、錠前という目に見える形で、この学校の屋上に通じる扉は施錠されているのだ。つまり鍵が開いていると言うことは普通の状態ではないということだった。しかし、この一週間で、その光景は祐助の中では当たり前になってしまっていた。そして、その光景に、安堵にも似た思いを抱きながら、祐助は扉に手をかける。