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雷雨が鳴り響く。雷が閃光を放ち、地面に落ちた時、その100メートル先の家に男児が誕生した。
産まれた時、誰しも泣くものだろう。その声を聞き、生きていると確認する。
その男児は違った。いっさい泣くことはない。しかしそれでも生きていると確認できる。
泣かないという赤子の不気味に加え、血のような深い赤色の髪と黒い瞳はよりいっそう不気味さを際立たせていた。
産みの親は言う。
なんて不気味な子。まるで悪魔のようだ、と。
赤い髪はこの世界にはいない。赤い血に染まったような色を誰もが嫌った。
両親でさえも、気持ち悪いと言う。
赤子殺しが罪でなければ、悪魔の存在はすぐに消えていたことだろう。
愛情なんて知らない。向けられるのは畏怖の目ばかり。
悪魔自身さえ自分が気持ち悪い存在だと、いつしか思うようになっていた。
彼と目が合えば、恐怖ですくむ者ばかり。悪魔は生まれた時から世界最大の魔力量を保持していた。
得体の知れない悪魔に畏怖の色を浮かべながら、両親が悪魔につけた名前はレイ・ダイン。
悪魔が名前を呼ばれる日は、いつ来るのだろう。誰もが悪魔と呼ぶ彼を、レイと呼ぶ人はいるのだろうか。
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