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「キーリリーン。そっちはどうだー? 順調かー?」
春。
極寒の地と言われるこの地も、春が訪れた。
この地の冬は雪に埋め尽くされ、ここ薬草畑や国を囲む森などは、白銀の世界となっている。
今はこの国… ウェルデン魔法国家、通称『魔法の国』からの依頼である、薬草採取を行っている。
「もう予備のカゴもいっぱいだよ。もう昼時だし、そろそろ戻って昼食にしようよ」
この薬草採取、朝から始めており、気がつくと太陽も高く昇っていた。
「さっすがー。何回もやってるだけあるねー」
そう言いながら、予備のカゴの他に、何の動物で作られた分からない、持参してきた革袋もいっぱいにしてきた仲間がそう言う。
「おおっ そんだけあれば、もう依頼は完遂だな。」
「…ベル。そんなに集めてどうするんだよ。僕よりも集めてるし… 依頼内容はカゴだけでも良いはずだけど?」
「やだなあキリタンは、追加報酬目当てに決まってるじゃなーい」
「追加報酬なんて見たことないけどね」
大量の薬草を詰めた荷物を抱えて近づいてきたのは、僕の仲間、シューベル・クライトンという名前の男だ。
髪は肩にまで長い茶髪で、後ろに縛って纏めているが、所々髪が跳ねている。少々クセがあるようだ。
歳は今年で17歳であり、ひょっとしたら僕と同い歳かもしれない。
同い歳かもというのには、理由がある。
僕には… 記憶がないのだ。
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