始まりの歌

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精神の崩壊から始まり異常者になる道程を歩む。 しかし、誰もがそうなるとは限らない。 だがなってしまった者は病院送りか野垂れ死にが運命だろう。 この街はお花畑でも、肥溜めでもない。 この街は、溝鼠みたいな灰色だ。 なんだか煮え切らない、良くも悪くもない灰色だ。 ゆかりは冷徹に言い放った。 「ええ、そうよ。 蓮華の実力を見極めるにはちょうどいい実験台になるのよ。 彼女は、ね?」 「……っ」 蓮華は自分の矛盾に気付いていない。 目の前にいるわたしは、、あなたが標する自分自身であるというのに、 そのわたしに対して無言のうちに憤っているのはなぜ? 嗄乃マヤのためなの? それとも……。
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