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「……彼女がどう考えようが、それは彼女の精神の自由よ。
わたしには関係ない」
「ウチはそうは思わないな。
さっきも言ったけど、現実をなめすぎだ。
“番犬”というものをまるで分かっちゃあいない。
そういったヤツらは決まって残酷な世界を見せられたとき、足下から崩れていくんだ。
アンタもそういうヤツらを見てきたことぐらいあるんじゃないのかい?」
ゆかりは頷く。
蓮華はフルタングナイフを取り出すと、まるで祈るかのように顔の前まで持っていった。
「そういったヤツらは、現実を見る前に死んじまった方がいいのさ。
自分のためにも、周りのヤツらのためにも、ね」
「……あなたは、」
「一ノ瀬蓮華だ、蓮華でいいよ。
どーゆーわけかアンタは最初からウチの名前を知っていたが、
どーせ訊いても秘密なんだろ?」
ええ、そうね、とゆかりは苦笑し、
「蓮華は―――この街の掟というものを知ってる?」
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