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「多部、どした?」
「…ゴメン!俺、朝一で報告書出さないとだった!後で行くから先に行ってて」
それだけを告げて、走って部屋に戻った。朝一の報告書なんてウソ。
部屋を出たのは自分たちが最後だったらしく、フロアには誰もいない。足を止めずにそのまま彼女の席へ。
そしてそれを見つけた――。
緊張で震える指でペーパーウェイトを少しずらし、その下にあるメモ用紙を抜き取った。
ゆっくり開き、目を通す。
『
お疲れ様です。
いつもありがとう。
あの、あなたは誰ですか?
豊田
』
彼女からの初めての返事だった。
女性らしい可愛らしい花柄の用紙に、小さな文字が並んでいた。たったこれだけの事なのに、嬉しくてしょうがない。
慌てて席に戻り、すぐさま返事を書いた。
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