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仕事の合間に隣の課の部長室へ向かい、慣れたようにドアをノックした。
「先輩、お疲れ様です」
「お~、里市か。お疲れ」
大矢部長は学生時代のサークルのOBで、自身が卒業した後も、後輩を可愛がってくれた。
営業で外回りがほとんどの俺は、何かあると理由をつけて部長室にお邪魔しては、話を聞いてもらっていた。面倒見が良く、年齢もさほど変わらないので、相談するにもしやすかった。
「先輩、あの…」
「ん?どうした、何かあったか?」
書類に目を通しながらも俺の話に耳を傾けてくれる。
「…あの通路側の一番奥に座ってる大人しそうな子」
そう伝えると先輩は俺が指差すほうを目で追った。
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