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それから数日後、取引先との打ち合わせが長引き、帰社したのは19時過ぎ。その日はめずらしくフロアには誰もいなかった。
重い鞄を置き、椅子に体を投げ出し大きく背伸び。溜息と一緒に重い腰を上げ、給湯室へ向かった。コーヒーメーカーのスイッチを入れ、一杯分のコーヒーが出来るまで時間は掛からなかった。
コーヒーを口にしながら、デスクへ向かう。そして全部の席が見渡せるところでふと立ち止まった。
フロア全体の明かりは消されているけど、所々に非常灯が点いている。
ポツポツと数箇所のデスクが照らされ、その中の一つ、左奥の…彼女の席。
今日一日、彼女はどう過ごしたのだろう?なんて思った。
誰とも言葉を交わさず、笑顔を見せる事も無く、一日を過ごしたんだろうか。
そんな事を思いながら席に戻り、鞄の中から書類と、取引先で貰った小さな包みを取り出した。
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