君へ。~From.R・T~

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翌朝、朝一でミーティングがあるため、早めに出社していた。 フロアを見渡しても彼女の姿は見当たらない。まだ出社していないんだろう。 あのメモを見た彼女の様子を知りたかったけど、始業時刻より早くミーティングが始まったため、その様子をうかがうことはできなかった。 ミーティングを終え、デスクに戻った時には通常の業務が始まっていた。 彼女もいつもと変わらない様子で黙々とパソコンに向かっている。視界の端でそれを確認し、重たい鞄を抱え会社を出た。 今日も帰社したのは日が暮れてからだった。 昨日と違って、まだ数人残業をしている人がいる。 一旦椅子に座り、怪しまれないように適当な書類を持って隣の課へ向かった。行き先は彼女のデスク。 恐る恐る見てみると、あのメモは無くなっていた。どうやら読んではもらえたようだ。 その事でホッと胸を撫で下ろし、何事もなかったように席に戻った。 そしてメモ用紙を手に取り、二枚目を書いた。
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