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「まさか若くてイケメンの校長先生が本当にいるなんてね……」
佐天と三人の友人達の話題は、当然ながら先程の校長先生の事についてだ。
「あの人って物理学の博士号持ちらしいよ」
佐天が校長速水公平の情報をリサーチする。
とはいえ、彼女お得意の都市伝説ではない。
体験学習のパンフレットに記載された、主催者一覧のページからの情報である。
「校長先生もそうだけど、こっちも凄そうだよ」
マコちんの指し示す場所には、校長と並んでもう一人の体験学習の主催者の名前と紹介が踊っていた。
我望光明。
日本における宇宙開発の功労者にして、天ノ川学園高校の理事長。
NASAやロシア航空宇宙局など、世界に名だたる宇宙開発機関に強いコネクションを持ち、宇宙を駆ける若者の人材育成に力を注ぐ、宇宙開発の重鎮。
パンフレットの写真には、片手にヘルメットを持って宇宙服に身を包んだ壮年の男性が、優しげな微笑みを浮かべている。
「『遥かなる銀河の呼び声』の著者……。今度読んでみようかな」
そして、佐天と三人の友人は、学生達で賑わう天校の校舎を進む。
体験学習とは言うが、クラスや部活等で色々な催し事が行われ、ここでしか手に入らない様々なグッズが配られている為、さながら文化祭の様な賑やかさだ。
そして、四人は三年B組の教室にやって来た。
スペースシャトルの形をした被り物を被った一人の女子生徒が、黒板の前で何やら歌を熱唱している。
「地球のーみんながー追っいかーぜさー」
そして、壁にはロケットを思わせる顔の様なものが描かれた、白い旗が掛けられていた。
顔の左右に『掴むぜ宇宙! KRC』という文字が書かれている。
「ねえ涙子、KRCって何かな?」
「さあ? 何かのマスコットじゃない?」
やがて、女子生徒は歌を終え、人工衛星に顔が付いたキャラクターのストラップを、四人に手渡し始める。
「これははやぶさ君ストラップ。みんなもはやぶさ君をよろしくね☆」
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