噺家の描く笑いのオチ Rakugo_of_Cancer.

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 戦闘において最も重要な事は、自分に有利な状況を作り出した上でそれを維持してゆく事だ。強大な強さを持った敵が相手ならば尚更である。  キャンサー・ゾディアーツの最も得意とする戦闘法は、超電磁砲(レールガン)の直撃をものともしない鉄壁の防御力を持った甲羅と、高層ビルでさえ一撃で真っ二つに切り裂く切断力の鋏を活かした接近戦だ。  ジークンドーを活かした格闘が通用しない以上は、一旦キャンサーの鋏の攻撃範囲から逃れる必要がある。 (一先ず危機は脱したが、)  だからといって、事態が好転したわけではない。 (ヤツの防御を攻略しない限りリミットブレイクは難しい……)  一二使徒(ホロスコープス)の中で、最も防御力に優れているであろうキャンサー・ゾディアーツの肉体は、パワーソースであるコズミックエナジーを一時的に増大させ、ゾディアーツの肉体を破壊(デリート)する威力を生み出すリミットブレイクをも、完璧なまでに無効化するだろう。  即ち、それは現状の仮面ライダーメテオに、目の前の蟹座の使徒を倒す術がない事を意味する。 「思ったよりも粘るじゃないか。プラネタリウム野郎」  あらゆる攻撃を防ぐ、鉄壁の装甲が立ち上がる。 「邪魔する相手は、普通は真っ二つでオチを付けるもんだけど、先にアンタが誰なのかを暴いてやらないとねぇ」  状況は絶望的。しかし、隕石を模ったメテオのマスクに諦めの色は見られない。  ―――それは唐突に訪れた。  ―――光の速さで訪れた。  ―――青白い電光を煌めかせて訪れた。  ―――出力にして一○億ボルトもの電圧と共に訪れた。 「超電磁砲(レールガン)に耐えた程度で、超能力者(レベル5)に勝っただなんて思わないでよね」  友達を助ける。  そんな単純な理由で、『一人で軍隊と対当に戦える』実力を持った年端も行かぬ少女は、キャンサー・ゾディアーツの脅威に再び立ち向かう。
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