噺家の描く笑いのオチ Rakugo_of_Cancer.

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     7  仮面ライダーフォーゼは、オリオン・ゾディアーツと戦っていた。  以前、御坂美琴と共に撃破した時とは別のスイッチャーの個体らしく、既にラストワンに到達して見境なく暴れ回っている。  そこから二○メートルほど離れた後方では、完全装備の警備員(アンチスキル)の部隊が、明らかに自動車を一発でスクラップにしそうな重火器を構えて隊列を組んでいる。  といっても、彼等は『仮面ライダー部』と強度戦線を結んでいる訳ではない。通報を受けて現着した時には、既にフォーゼがオリオンとの戦闘を開始しており、直後に『風紀委員(ジャッジメント)と共に学生の避難誘導に従事し、以後は敵性に活動の沈黙が見込められないと判断されるまで待機せよ』との指示を、上層部から与えられたのだ。 〔Chain Saw!〕 〔チェーン・ソー オン〕  フォーゼの右足から爪先に掛けて現れた『チェーンソーモジュール』。それを使った回し蹴りを、オリオンの持つ盾『キオス』が防ぐ。  ピリピリピリ、と腰のドライバーの左端のスイッチから通信を知らせるアラームが鳴る。 〔レーダー オン〕 『正面からの攻撃は有効ではないようだ。二一番を使え』  フォーゼにアドバイスを送る声は、彼の左手に現れた『レーダーモジュール』から発せられた。 〔Stealth!〕 〔Hammer!〕 〔ステルス オン〕 〔ハンマー オン〕  スイッチオフと共に、チェーンソーとレーダーの各モジュールが解除されてゆく。  続けて入れ替えたスイッチをオンにした事で、左手全体を覆う巨大な金づちのような『ハンマーモジュール』、ステルス戦闘機を模った『ステルスモジュール』が右足に物質化(マテリアライズ)した瞬間、  フォーゼの体がその場から消えた。  勢い良く振り下ろされた棍棒『レムノス』は、ものの見事に空振りして足元のアスファルトを砕く。 「消えた? ―――ぐぁッ!!」  叩き潰すべき標的を見つけ出すべく、周囲を見渡すオリオン・ゾディアーツの左手に鈍い痛みが走り、持っていた『キオス』を取り落とす。  地面に落ちた『キオス』は、まるで目に見えない相手に蹴り飛ばされたかのような挙動で、オリオンの元から離れた場所まで独りでに転がってゆく。  その直後、まるでタイミングを見計らったかのように、戦場に再びフォーゼの姿が現れた。
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