噺家の描く笑いのオチ Rakugo_of_Cancer.

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 鳥の鳴き声のような叫びと共に、神速の拳が残像を残す。青白い輝きと轟音を発しながら、一○億ボルトの雷撃が駆ける。  仮面ライダーメテオと御坂美琴の生み出す戦闘は、余波だけで並の能力者や警備員(アンチスキル)が近付く事すら許されない破壊を撒き散らしていた。  常識的に考えれば、仮面ライダーと超能力者(レベル5)の戦力は、総力を上げた一国の軍隊を易々と一蹴する事ができるだろう。  にもかかわらず、  二人の戦士は膠着状態に陥っていた。 「ったく―――何なのよこの鬱陶しい連中は!!」 「幹部の分身体のようなものだ」  現在、メテオと御坂はキャンサー・ゾディアーツの体から分裂するかのように現れた、二○人ほどの集団と戦っていた。  第一印象としては、時代劇に出てくる忍者のように見える。全員が日本刀のような刃物を持っており、一般的な手榴弾と同等の威力の爆発物を、時折投擲してくる。 「アタシの星屑『ダスタード』はどうだい? 余興にはうってつけの相手だろ」  御坂の見立てでは、忍者一人一人の強さは通常のゾディアーツの半分に満たない。しかし、まさしく忍者のように軽やかなフットワークと、接近戦と遠距離戦の両立が可能な武装。  そして何より、その数を活かした連携を前に、学園都市第三位を誇る常盤台のエースは、思わぬ苦戦を強いられていた。  磁力で作り出した御坂の砂鉄剣が、正面に立つ忍者の刃物と切り結んだ硬直の隙に、背後に回り込んだ二体の忍者が、手榴弾のような爆弾を投げ付ける。  人間一人を粉々にするくらいの爆発が起こった直後、頭上から降り注いだ無数の紫電が、地上に立つ三人の忍者を貫いた。 (こうやって数で押してくるヤツとの戦いって、囲まれたら終わりなのよね)  周囲に放出する微弱な電磁波をレーダーとして使い、磁力で任意の場所に磁場を構築する御坂美琴にとって、死角からの不意打ちを察知し、金属製の壁を歩く事など造作無い。
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