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佐天達は、当然ながら『はやぶさ君ストラップ』なる物の価値は知らない。
しかし、頂いた以上は素直に貰っておいた方がお得だ。海外旅行先での怪しいお土産品だと思えばよい。
そうして、佐天達が女子生徒からストラップを受け取った時、教室に一人の男子生徒が入って来た。天校の青い制服ではなく、黒い短ランにリーゼントという、一昔前の不良を思わせる格好である。
「(ね、ねぇ。あの人ちょっとヤバい系じゃない?)」
「(あまり関わらない方がいいよ)」
小声で言い合うマコちんとむーちゃんだが、リーゼントの男子生徒は、有ろう事か彼女達に歩み寄って声を掛けた。
「よっ。アンタ達も体験学習に来たのか?」
「はっ、はい。そうですが……」
強能力者(レベル3)以上の能力者のみが在学する、常盤台中学の御坂美琴や白井黒子ならばいざ知らず、レベル0の佐天達に、不良を撃退する術はない。自分達に話し掛けたリーゼントの学生に、怯えながら答える。
しかし、そんな彼の口から飛び出したのは、佐天達の予想とは全く違った言葉だった。
「俺は如月弦太朗。学園都市(この街)の連中全員と友達になる男だ!」
言葉の通りに受け止めるならば、二三○万人の学生を含む、学園都市の人間の全員と友達になるという、何気にスケールの大きい事を言っているのだが。
『如月弦太朗』と名乗るリーゼントの学生。不良に有りがちな威圧的な態度ではなく、むしろ友情に熱い熱血漢のような雰囲気を醸し出している。
佐天達が対処に困っていると、突然一人の天校生が息を切らして教室に駆け込んできた。
「やっと見付けたぞ如月。早く行かないと、みんな待っている」
「ちょ、おい! とりあえずまたな。次に会った時はダチになろうぜ!」
「待ってよ弦ちゃーん!」
慌ただしく教室を後にする三人を見て、佐天涙子と三人の友人達は、皆一様に同じ感想を抱く。
個性を伸ばす天ノ川学園高校は、生徒も個性派揃いなのだと。
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