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街は混沌に満ちていた。
路上は、夥しい数の人ではない黒い異形が闊歩する領域と化していた。
治安維持に勤める者が事態の鎮圧に従事する様子はなく、逃げ惑う人々は次々と異形の者の襲撃を受け、断末魔を残して物言わぬ死体となり、一人また一人と地に伏してゆく。
所々に白い雲が散らばる青空だった上空は、見渡す限りのどす黒い闇が広がり、時折そこから落ちる稲妻のような閃光が、ビルの壁や道路を砕く破壊を撒き散らしている。
街は地獄絵図の様相を呈していた。
そしてそんな街の上空、一面に広がる闇の中心に、災厄の元凶が下界を見下ろしている。
元凶は勝ち誇ったように言い放つ。
「脆弱な人間共よ。そこで自らの最後を見届けるが良い!!」
街は滅びかけている。
だが、そんな災厄に全力で抵抗する者達がいた。
まだ幼さが残る、年端の行かぬ少年少女達。
青白い紫電を全身で弾けさせ、その手にメダルゲームのコインを持つ少女。
首筋の電極に触れて現代的な杖を収納する、どこまでも白い少年。
口元にくわえていた煙草を投げ捨て、懐から一枚のカードを取り出す赤い髪の少年。
独特の呼吸法と共に、二メートル以上もの長さの日本刀を構える少女。
右手を鼻の前で擦り、奇妙な声の後に拳法の構えを取る少年。
「いいぜ、テメェが俺達の青春を台なしにしようってんなら――」
不幸に愛された少年は、あらゆる幻想を殺す右手を握り締める。
「――――まずは、そのつまんねぇ幻想をぶち殺す……ッ!!」
この街の全員と友達(ダチ)になる事を誓う少年は、
「俺達の友情の力、受け取ってもらうぜ――」
腰に巻き付くベルトを操作して、自身に宿る力を解放する。
「―――仮面ライダーフォーゼ。タイマン張らせてもらうぜッ!!」
友情は絆を生む。
絆は限界を越える力を生む。
限界を超える力は、若者達の前に立ち塞がる闇を切り払う。
英雄達は、このまま悲劇では終わらせない。
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