緩やかに終わりゆく日常 The_Everyday_End.

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「何を意味不明な事言ってんのよアンタは! でも流星群なんてロマンチックじゃない」 「御坂さんならそう言うと思いました」  そう言って初春がノートパソコンの画面に写して他の三人に見せたのは、若者向けの女性雑誌の星座占いのページだった。 「星座占いって昔から女の子らしいイメージがありますよね……」  感想を呟きながら、佐天は自分の星座の運勢を見る。 『自分の才能に恵まれないあなたは、近いうちに千載一遇のチャンスに巡り会うかもしれません。いつもと違う新しい事に積極的にチャレンジすると良いでしょう』 「そんな事で能力が目覚めれば世話無いって……」  総人口の八割を学生が占めるこの学園都市では、『記憶術』とか『暗記術』などという名目のもと、学生の脳を『開発』して超能力の研究を行っている。  佐天が自身の運勢を見て、半ば自嘲気味にコメントを漏らしたのは、彼女が何の能力を持たない『無能力者(レベル0)』だからだ。 「……、」  その一方御坂は、『ゲコ太』という名前の小学生が好みそうなカエルのキャラクターのキャンペーン情報を、食い入るように見詰めていた。 「あらまあ、お姉様ったらまたそのような子供っぽいキャラクターを」 「んなっ!? べ、別にそんなんじゃないわよ!」  後輩に自身の少女趣味を指摘され、激しくうろたえながら否定に走る。ちなみに、初春と佐天がカジュアルな私服なのに対して、御坂と白井が制服姿なのは、彼女達の通う中学校に外出時には制服着用という校則があるからだ。  やがて、四人の中学生は会計を済ませて店を後にし、週に二度の休日を満喫すべく、学生が溢れる学園都市の雑踏の中へ紛れてゆく。  少女達にとって、穏やかで平和な日常がそこには存在していた。
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