緩やかに終わりゆく日常 The_Everyday_End.

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     2  天ノ川学園高校。  日本における宇宙開発の人材育成に力を注ぎ、生徒の個性を尊重する自由な校風を掲げる学校の、三年B組の教室の端の席に座る四人の生徒。  彼等は、とある話題に花を咲かせていた。  週明けから行われる、天校の学園都市への移設。  学校中がその話題に持ち切りだった。 「学園都市と言えば、何と言っても超能力だよね」  星空の刺繍が施された青いブレザーに、チェックのスカートを着用した黒いストレートヘアの女子生徒『城島ユウキ』。  活発で賑やかなムードメーカーと言える彼女は、鞄の形のデバイスを操作する同じ制服を着た男子生徒『歌星賢吾』に話し掛ける。 「天校は日本の宇宙開発に力を入れている。世界中の様々な教育機関が集まる学園都市に移設されるのも必然だろう」  冷静な判断力と豊富な知性を持ち、論理的思考を常に崩さない少年に、一際異才を放つ男子生徒が質問をした。 「なあ賢吾、そこって街一つが学校みたいなもんなのか?」  如月弦太朗。  リーゼントの頭髪と短ランにボンタンという明らかに他の生徒とは一線を画し、一昔前の不良を思わせる風貌だ。しかし、非行少年というよりは熱い熱血漢といった印象を与えている。 「総人口の八割が学生だからな。あながち間違ってはいないだろう」  弦太朗の問いに答えたのは、茶色い詰め襟の学生服を着こなした男子生徒だ。  彼の名は朔田流星。  昴星高校からの交換編入生であり、当然の事ながら、着ている制服は母校のものだ。  賢吾に負けず劣らずの知性と冷静さを持ち、弱々しい印象を一切与えない細身の体格は、徹底的に洗練され尽くした戦士を思わせる。  それを聞いて弦太朗が発した言葉は、 「よし決めた。俺は学園都市の連中全員と友達(ダチ)になる!」
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