8人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
肢体がバラバラになり、悲鳴すら上げられなくなった時、突然意識がはっきりとする。
どうやら、夢を見ていたようだ。
いや、問題は【どこから夢を見ていた】かだ。
少なくとも、あの花屋まで行っていたところまでは覚えている。で、がらの悪い青年達と暴力沙汰になって、一人が魔法を使えた。
結局、気絶させて事を済まそうとしたら、一気に意識が……
ダメだ、思い出そうとする度に頭が痛くなる……せめて誰か僕を見ていた人がいないと。
…………あれ、そういえば、ここ、どこ?
冷静になったのはいいが、ここは鬼狩支部の中にある寮の部屋じゃない。
お世辞にでも綺麗と言えない僕の部屋ではなく、整頓がきちんとされた部屋だ。明るい色に覆われたそこは、女の子の部屋と思われる。
あれ、女の子の部屋?
まさかと思い、自分がいる場所を確認する。そこは桃色のカバーに覆われたベッドの上だった。しかもいい匂いがする。
いやいや、しかも、じゃなくて。
てか、なんで僕はこんなところに寝ているのだろうか。
ま、まさか、知らず知らずに女の子を襲ってそのまま……
で、女の子が僕が眠っている隙に警備隊を呼びにいったとしていたら--
「無意識とはいえ、女の子を襲ったのが事実なら、逃げなきゃ!」
僕は近くの椅子にかけられていた鬼狩の制服であるジャケットを拾いあげると、そのままドアへと直進する。
しかし、ドアノブに手をかけようとした途端、ドアは自分から開いたのだ。
僕は、今日ほど押しドアが恨めしく思う日はないだろう。
開いたドアの先にいたのは、桃色の髪を肩まで伸ばしたエプロン姿の少女だ。そう、あの花屋の娘さんだ。
しかし、重用なのは、僕がドアに飛び掛かるように動いていたので、そのまま彼女を押し倒してしまったことだ。
最初のコメントを投稿しよう!