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「トワど――隊長、もはやこれは新人イビりじゃ……」
「あら、違うの?」
「違うのって、トワ隊長!あなたは自分で推薦した部下を自分の手で壊したいのでござるか!?」
氷蘭三尉は刀を降ろし、自分の上官であるトワ隊長に抗議する。
「なら、氷蘭三尉。あなたはバーネイド一士に戦いで死ね、と言いたいの?」
「うっ、それは……」
「私たち鬼狩は仲良しなお友達感覚でやっているわけじゃない。けど、戦いで戦力を失うわけにはいかないから、こうして部下を鍛える必要があるのよ」
トワ隊長は突如僕の方に向かって歩き出し、腰の鞘にしまっていた水晶のような色をした刃を持つレイピアを抜く。
「あなたには戦いの点でいくつも欠点がある」
彼女の右手から放たれたレイピアを辛うじて剣で弾くが、その拍子に剣が手から離れて宙を舞い、近くの地面を穿つ。
「まず、戦いの基礎から。訓練生時代は実技の穴を座学で補ってたみたいだけど、そんな極端な戦闘班が戦闘できると思っているの?次に――」
いきなりトワ隊長の姿が消えたかと思えば、足を掬われ、思わず尻餅をついてしまう。
「武器を失ったという不測の事態での戦闘続行能力が欠如してる。そして、これが一番の欠点なんだけど」
彼女は地面に刺さった剣を引き抜き、それを僕に向けてためらいなく投げる。
その剣は尻餅をついている僕の足下に突き刺さる。それを見た途端、胃から何かが逆流してくるような感覚に襲われる。
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