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「昼飯食べて、支部に戻ろうかな」
どうでもいい独り言を呟きながら立ち上がると、少し長めな背伸びをしてから歩き出す。
少しジメジメとした暑さなのだが、森の中にいるせいか涼しく感じる。
時折小枝を踏み折りながら進むと、支部が駐在している街が見えてきた。街の通路や建物は白や橙色と明るいレンガに覆われており、西洋の雰囲気が漂っている。
ここはネーテレイス。西国支部がある街で、僕が生まれ育った街だ。
今日は何を食べようかと思ってあるいていると、ふと視界に数人の男達と一人の女性が入る。どうやら揉めているようだ。
花が多く飾ってあるところから、どうやら花屋のようで、店員らしき少女が二、三人の男達に説教をしているらしい。
野次馬に紛れて、それを眺めることにする。
「わざとでしょ?私はっきり見たんだから!」
「だから違ぇって言ってんだろ。しつこい女だな」
「そもそも、そんなところに花瓶なんか置いている奴が悪いだろ」
「この範囲は私達の店よ!あんた達が勝手に入ってあの花の花瓶を、わざと蹴ったんじゃない!」
どうやら、商品を蹴り飛ばした男に説教しているようだ。だが、僕には関係ない。鬼狩は悪鬼を狩る組織であって、正義の味方ではないから。ここは警備隊が来て事態を収集するだろう。
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