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しかし、事態は一転する。
苛立ちが頂点に達した男の一人がナイフを抜き出し、それを少女に突きつける。
「いい加減にしろよ?これ以上ガセを吐くなら、その顔を切り刻むぞ!」
野次馬達がざわめき出し、僕自身も男達がナイフを出したことに気づく。
これは早く警備隊が来ないとマズイと思った僕はその場から走りだそうとした時、鬼狩の軍服の裾を捕まれてしまい、身動きが取れなくなる。
「お兄ちゃん、鬼狩の人でしょ?お姉ちゃんを助けてあげないの?」
振り向くと、小さな女の子が僕の軍隊の裾を掴みながら見上げていた。
これだ。鬼狩を警備隊と勘違いする人がいるせいで、こうやってやっかい事に巻き込まれる。
「あのね、鬼狩は対悪鬼用軍隊なので、こういうことに対しては何も……」
「助けてあげなよ。戦う技術はあるんだろ?」
他の野次馬達も僕に気づき、あーだこーだと言い始める。戦う技術って、僕は悪鬼用の戦闘方法しか――
言い訳がましいことを言おうとした時はすでに手遅れで、野次馬達に押されていき、あの少女と男達の修羅場へと放り込まれるのであった。
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