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「なんだお前は!」
突きつけられたナイフを見て発作が起きそうになるが、なんとか収まる。そして呼吸を整え、今の状況を把握していく。
「ぼ、僕は鬼狩西国支部第一小隊所属のバーネイド一士です。これ以上騒ぐと営業妨害で警備隊に連れていかれます。だから、感情を抑えてください」
「うるせぇよ。鬼狩だぁ?化け物を狩る化け物は、引っ込んでろ!」
「なんなら、俺が化け物退治してやる……よ!」
ナイフを構えた男の隣にいた男は突如右手を僕に向けてかざす。すると、その手のひらの空気が歪む。
これは、まさか!
「フレイムボール!」
手のひらに生まれた火の玉を粗っぽく投げつけてくる。とっさに避けようとしたが、後ろにいる市民のことが頭を過り、背負っていた布に包まれた剣で上に弾く。
その際、布が少し焼けてしまい、鞘がそこから覗いてくる。
「魔法……!」
僕だけではなく、他の市民もざわめきだす。
「お前、魔法使えたのか!?」
「俺も昔鬼狩にいたんだけどよ、規則や云々堅ッ苦しくてさ。すぐやめたんだよ。だけど、魔法ってだけで人がびびりやがるから、少しだけかじってやった」
「ははっ、ならやっちまえよ!あいつよりお前が優秀なところ見せたら、鬼狩からスカウトされるかもな!」
「そりゃいいな。ってことで、フレイムボール!」
再び男が火の玉を繰り出す。しかし、その玉は上に弾かれることはなく、鞘によってレンガ道へと叩きつけられる。
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