∮-始章-∮

12/30
前へ
/99ページ
次へ
柔らかな風が二人の髪を、肌を撫でて吹いていく さながら重くなった空気を洗い流すように 心地よい風に吹かれて幾分か気が楽にはなったがまだ心の中にはわがかまりが残ったまま… どうしよう…聞いてしまおうか…ううん、やっぱり我慢しよう フェリシアは気持ちを押さえるために一つ大きく深呼吸をする 「もう一つの理由はね」 「うん。…って、え?」 予想外の事が起きた。諦めようとしてた事をレインが自ら話そうとしている 「知りたいんでしょ?ボクが特待生であるもう一つの理由」 何で何も言ってないのにわかったんだろ…気付かないうちに何か言ってたのかな… 「言わなくてもわかるよ。理由は知りたいけど聞いてもいいのかわからない。…違う?」 そこまでバレちゃってるのか… 「……その通りよ」 「ボクが特待生の理由は…」 「ま、まま待って。心の準備ってものが」 「あははッ、そんな大層な話じゃないよ」
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加