君に詠う

∮-始章-∮

｢そうですか｣

｢ええ｣

｢ならば仕方ありませんね｣

いつもならこのまま素直に引き下がるのだが今日は違うようで

｢女性に手をあげるのは心苦しいですが力づくで連れていくしかありませんね｣

そう言うとベルツェはフェリシアに手を出すわけでもなく詠唱を始めた

『汝、清らかなる水を司りし者。清流の名の元に我の力となれ』

精霊召喚『TYPE:ウンディーネ』

｢…そういやアンタって召喚術の成績が特に優秀だから特別に召喚術の授業免除されてるんだったわね｣

召喚術にもランクがあり１番ランクの低いものから

ランクＣ:武装召喚
ランクＢ:憑依召喚
ランクＡ:精霊召喚
ランクＳ:幻獣召喚

ベルツェが行ったのはこの中の精霊召喚…つまりランクＡの召喚術である

｢…君がいけないんですよ。僕の誘いを断り続けるから｣

｢アンタとデートするくらいなら死んだ方がマシよ｣

と、強がってはいても状況はあまりよろしくない