1人が本棚に入れています
本棚に追加
「チッ」
静かな町の真ん中で一人男性が舌をうち、一枚の紙を寒い空へと投げ捨てた。
男性の目の前にあるのは町の大型スクリーン。
スクリーンから発せられるのは歓声か罵声のどちらか。
男性はそのどちらにも当てはまらず、
冷めたようにその場を立ち去ろうとした。
町全体を見渡せば、人が少ないことは一目瞭然であった。
これでも、今日はクリスマスイブである。
聖夜にカップルが身を寄せ合い、町を歩く光景は、今では遠い昔の話だった。
これも、あれの影響かと思うと、更にこの地でこれからもいきる自信を削ぎ落とした。
星が近くに感じる。
冬の寒い空のせいだろうか?
男性は、そんなことを考えながら、ふと後ろを振り返りスクリーンを見た。
そこには、先程までの馬たちの姿はなく、一人のスーツの男性が映し出されていた。
最初のコメントを投稿しよう!