不良の初恋

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それから音尾の噂は、光の速さの如く瞬く間に学園中に広がり、入学式の翌日には既に親衛隊が出来たかと思えば、その規模は今現在では既に校内有数の大きさを誇る生徒会各親衛隊に匹敵するらしい。 毎月末に新聞部主催で行われる抱きたい、抱かれたいランキングも、今月のランキングでは上位に入ることだろう。 普段なら他人のことには基本無関心を決め込んでいる俺も、どうしてか音尾に関する事は気になり、音尾関連の話題や噂は耳にどんどん入ってきた。 …だがしかし、俺は音尾には全く、というか一度たりとも話かけられずにいた。ついでに言うと目があったことすらないので、顔見知りですらないということだ。 俺はこんな容貌だし、素行も良いとは言い難いし、こんな奴が話しかけでもしたら怖がられるんじゃないかとか、何と言って話しかければよいのだろうか、話しかけたところで俺と音尾の間に話題だなんてものは存在するのだろうか… などとただ只管悶々と考えていて、全く話かけられないのだ。 ―――……て俺は恋する乙女かっ!!?気持ち悪っ!!今更何を純粋ぶってるんだそんなことをして一体誰が得をするんだよ否誰も得しねえよ!! …と、まあそんなこんなで気がつけば音尾がきて一週間がたった。 音尾は人相のよさや周囲からの信頼の厚さ諸々の理由により、学級委員長と学年委員長になった。「学年委員長は生徒会入会不可である」という規則により、たとえランク入りしたとしても生徒会入り不可になってしまい、親衛隊が残念がっていた。 *
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