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最早学園内に音尾の名前を認知していない者は一人としておらず、誰が考えついたのかは知らないがいつの間にか"プリンス"とかいう渾名までついていた。
親衛隊曰く、「そのお伽噺に出てくる王子さながらの容貌と優しさ」から、親衛隊は学園内最大規模と化しているそうだ。
たった一週間という短い期間でここまで学園に良い意味で影響を与えるような者は今までおらず、首席で運動神経抜群、容姿端麗なうえに優しいとかもう人間の範疇超えてんだろ、だなんて観察していて思った。
…て、俺はなにそこまで音尾のことが解るまでじっくり観察なんかしてんだよ!本気で恋する乙女か!
…自分はそんな柄でもないというのに、最近羞恥心を感じるまでに己が女々しくて怖い。俺は果たしてこんな奴だっただろうか。
とにかくまあ、そんなある日。ついにこんな俺にも音尾に話しかけるチャンスが生まれた。…それは、体育の授業の時だった。
がしゃんっ
「きゃあっ!!音尾様!?」
「ったた…ねえ君、大丈夫だった?怪我とか、してない?」
「っあ、僕は全然大丈夫です!その、音尾様が庇ってくれたお陰で…そ、それより音尾様、音尾様こそ血がっ!!」
「ん、無事ならよかった・・・こんなの大したことないから大丈夫だよ。舐めときゃ治るって」
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