序章

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 60mはある大型クレーターの上と下で、人型のロボットが作業をしていた。 「まさか地球外採掘なんて……しかも《第二の月》が担当だし」  下のロボットが削り取った岩を取り、ある程度調べてから放り投げる。 「こんな星が一年前に急に出現したから不気味で仕方ねぇよ……でも稼ぎがいいし、病気の母さんの為だ……我慢我慢」  作業の手を止めた若い男は伸びをしながら言葉をもらしていく。  漆黒の空を見上げ、青々と輝く地球へ手を伸ばす。 「高額な試験のために体を壊すまで働いてくれた母さん……おかげで試験もパスできた、もう少しそこで待っててくれ……」  視線を少し横にずらせば月が白い輝きを見せている。 「第二の月なんてよく言ったもんだ……まさに陰と陽ってな」  クレーターの外の赤みのある表面がより不気味さを掻き立て、同僚の間では《血の月》なんて呼ばれたりしてた。
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