始まり

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月が輝く夜、海辺を歩く子供がいた。 イザナギという名の男の子で、元は小さな部族で長の息子として暮らしていたが、他の部族に襲われ、生き残ったのは一人だけだった。 土地を追われたイザナギは行くあてもなく、ただ海辺を歩いていたのだ。 歩き疲れたイザナギは死を覚悟して海へ入っていった。 目を瞑り、死んだ部族の者達を思いながら。 海水はとても冷たく、頭まで浸かってしまえば簡単に亡き父と母のもとに逝ける気がした。 海水がイザナギの肩まで浸かった時、急に誰かに脇を抱えられ、海から引き上げられた。 驚いて目を開けると、イザナギを引き上げたのは若い男だった。 船に乗せられたイザナギに若い男は何かを話しかけるが、その言葉はイザナギには分からなかった。 船には若い男の他に、若い女と自分と同じ位の女の子が乗っていた。
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