第三章 模擬戦

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その瞬間、 ドガァン!! 口で言い表すのも困難な音と共に黒姫が突っ伏していた机が吹き飛んだ。 トドメを刺したか?そう思える状況下、二人の生徒の顔は見る見るうちに青ざめていった。 センサーガンに直接的な殺傷効果はないのである。 ではあの宙を舞う机は誰の力で飛ばされたものなのか。…無論、彼女の力である。 「んー危ない危ない。起きるのがもう少し遅かったらやられてたなー」 脳天気に伸びなどしている黒姫をよそに、青ざめた生徒の片方が叫んだ。 「ここここっちは二人いるんだ!ややややっちまえ!」 その声を皮切りに二人は手に持ったセンサーガンを黒姫に向け、トリガーを引き続ける。 が、 「なんで…あたんねぇんだよ!」 黒姫の舞うような躱しの前に、全て無力に終わった。 「お約束♪」 黒姫は両手に握った2丁のセンサーガンのトリガーを引き、不可視の弾丸はそれぞれの男子生徒の頭部を捉える。 「グァッ!」 「ガァア!」 二人は断末魔を上げながら大きく痙攣し、その場に倒れ込んだ。 模擬戦の際は、センサーガンが敵を捉えた時、被弾箇所に傷を負う代わりに微弱電流が流される仕組となっているのだ。 因みに、その役割を果たしているのもこの校章である。 黒姫は校舎を窓から飛び出し、人目を避けて目指すはアリーナの裏側。 人が来にくく、仮に来たとしても狭い空間で対処がしやすい。まさに絶好の隠れポイントなのだ。 「さて、そろそろかな…」 「ニンジャバリアー!」 落ち着いた途端に響く甲高い、それでいて何度も聞き慣れた声。 「スキありでござ……ッ?!」 目の前に突然現れた人物の姿を確認する事もなく、素早くセンサーブレードを突き付ける黒姫。その見えない剣先は喉元一歩手前で止まっていた。 その場に現れた声の主は、緊張のあまり上段の構えを取ったままぴたりと動きを止めていたが、構えを解きながら口を開けた。
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